マーラー 交響曲ダンスプロジェクト

2016年からマーラー全交響曲のダンス化に挑むプロジェクトシリーズのこれまで。


マーラー 交響曲ダンスシリーズ第1弾「TITAN」

2016年1月29日(金)~2月2日(火) アトリエ劇研 

使用楽曲:マーラー交響曲第 1 番ニ長調「巨人」


演出:きたまり

A プログラム 振付・出演:きたまり 

B プログラム 振付・出演:野渕杏子 花本有加 川瀬亜衣 白鳥達也 玉邑浩二 藤原美加 

 上演時間:70分(Aプロ)/60分(Bプロ)

舞台監督 浜村修司 照明 吉田一弥 音響 齋藤学アシスタント 菊池航(淡水) 制作 川那辺香乃

主催:ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI 共催:アトリエ劇研 京都芸術センター制作支援事業 


「TITAN」公演チラシ


「TITAN」公演パンフレット文章


 

ダンス宣言 2016

 

本日はご来場いただきありがとうございます。

3年ぶりの本公演なので、初めてご覧頂く方も多いかと思いますので、少し説明くさい挨拶文ではじめさせてもらいます。

 

KIKIKIKIKIKI は 2003 年に結成ですが当時は学生でしたので、本格的に活動を始め たのは大学を卒業した 2006 年になります。それから 7 年間はがむしゃらにショーケースや本公演を行っていましたが、2013 年から活動を休止しました。

いろんなタイミングが重なって休止ということにしましたが、一番の理由はダンスがわからなくなったことが大きかったんだと、思います。 さて、ダンスがわからないというのはどういうことなのか?そもそもダンスってわかるものなのか?

そんな自問自答をしながら 2013 年を過ごす中で、出会ったのが マーラーの交響曲でした。 最初の印象はそれこそ「わからない」で、なんだこの楽曲はと思いながら聞きながら、試しに 2014 年にソロダンスでマーラーの楽曲を使用した時に直面した「ダンスをせざるえない体感」は強烈で、それ以降マーラーでダンスを踊ることをず っと思考していました。

わかる、わからないの問題ではなく、そこにダンスをせざるえない身体が存在することが、マーラーの交響曲で上演する理由です。それはダンスをする、ダンスを作る理由でもあります。

演劇でもパフォーマンスでもなく、これはダンスです。この先しばらくマーラーの 全交響曲を制覇するまで、マーラーのダンスシリーズは続きます。ダンス宣言 2016。

どうぞ、ダンスをお楽しみください。

KIKIKIKIKIKI 主宰 きたまり 



マーラー 交響曲ダンスシリーズ第2弾「夜の歌」

2016年10月14日(金)~10月18日(火) アトリエ劇研

使用楽曲 : マーラー交響曲第7番ホ短調「夜の歌」


演出・振付:きたまり

Aプログラム 出演:きたまり ゲスト:三浦宏之

Bプログラム 出演:野渕杏子 花本有加 藤原美加 大谷悠 益田さち

上演時間:80分(Aプロ、Bプロ共に)
舞台監督: 浜村修司 照明 :吉田一弥 音響プラン: BUNBUN 音響オペレーション :小早川保隆 制作: 川那辺香乃 

主催:ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI 共催:アトリエ劇研   京都芸術センター制作支援事業

平成28年度文化庁芸術祭参加公演  *Aプログラムにて主宰きたまりが新人賞を受賞


「夜の歌」公演チラシ


「夜の歌」公演パンフレット文章


 

マーラーという“今”を踊るために

 

この度はご来場いただきまして誠にありがとうございます。 マーラーの交響曲でダンス作品を上演する今シリーズは、前回公演1月の交響曲第1番「TITAN」 に続きまして2回目、今回は順番をすっ飛ばして交響曲第7番「夜の歌」です。

 

実はマーラーでダンスシリーズを始めようと思ったきっかけが、この7番でした。 何度聞いてもメロディもリズムも掴めない、よくわからない驚きがつらなる奇妙な音楽に興味が湧き、7番に出会ったことがきっかけでマーラー全交響曲でダンス作品をつくるという無謀で壮大なプロジェクトが始まりました。そして日々、いたって真面目にマーラー研究に励む中で得た情報は、 この7番はマーラーの交響曲の中でも極めて「わかりにくい音楽」といわれていることです。 この「わかりにくい音楽」と評される原因は安易に言い換えれば「言語化しにくい音楽」ということだと思います。これはダンスを見る時にもよく起こることです。 わからないことに出会い、なんだろうこれはと覗きこむような期待感、そのような感覚を今回の公演でも観客の皆様と共有できればと思います。が、少し今回の作品の説明をします。

 

A プログラムは、きたまりソロダンスです。そこに、私が与えた3つの指示以外はなにをするかわからない三浦宏之というゲストダンサーを迎えました。 Bプログラムはマーラーシリーズ構想の中で一番最初に浮かんだ絵を具体化しました。7番を使用し女性だけのダンサーの群舞を多方向から見る観客というのが、最初のアイデアでした。

そして、 A B 共に7番の音楽構成のキーワード【シンメトリー・自己反復・パロディ等】や、マーラーが亡くなった後(1911年没)に生まれたダンス表現を混ぜ合わせながら振付を行いました。 今、生きている同時代を見つめるために歴史に想いを巡らせ100年の歳月を行き交う身体にのせた壮大で滑稽で静かな響きの中で、の踊りがはじまります。

どうぞ最後までごゆっくりお付き合いください。

KIKIKIKIKIKI主宰 きたまり



マーラー 交響曲ダンスシリーズ第3弾「悲劇的」

2017年8月4日(金)~8月8日(火) アトリエ劇研

 

 

使用楽曲 : マーラー交響曲第6番イ短調「悲劇的」


振付演出:きたまり  

 出演: 花本有加  藤原美加  益田さち 斉藤綾子 きたまり 

 

上演時間:90分


舞台監督: 浜村修司 照明 :吉田一弥 音響プラン: BUNBUN 音響オペレーション :小早川保隆 振付アシスタント:川瀬亜衣

制作: 川那辺香乃  制作アシスタント:野渕杏子 宣伝美術:長澤慶太

主催:ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI  共催:アトリエ劇研 協力:城崎国際アートセンター  京都芸術センター制作支援事業

助成:公益財団法人朝日新聞文化財団 芸術文化振興基金


「悲劇的」公演チラシ


「悲劇的」公演パンフレット文章


「悲劇的」終演のご挨拶

 

本日はご来場頂きありがとうございます。

高いところからの観劇でなにかあったら、大変申し訳ございませんでした。とまず始めに。

 

今回はアトリエ劇研が8月31日に閉館するということでアソシエイトアーティストとして作品を発表する

最後の機会でした。

劇研でのラストダンスかとため息をついた際に脳裏によぎったのは、マーラー6番、同時に京都が生んだ

伝説的なパフォーマンス集団ダムタイプの『pH』のことでした。

アトリエ劇研が無門館だった頃、ダムタイプが当時の劇場ディレクター故・遠藤寿美子さんに誘われて此処で作品を作っていたのは有名な話ですが、残念ながら私は無門館時代の作品を見たことはありません。

ですが、私の脳裏に浮かんだダムタイプの『pH』は、まるでアトリエ劇研の中2階からの眺めのような気がしていました。アトリエ劇研閉館=マーラー6番=ダムタイプ『pH』=脳裏の連鎖からこのような客席が生まれたことをまず説明します。

 

終演後ですし作品自体の説明は特にしません。マーラーで踊っているダンスを見る。

それだけのことですが、どうぞ劇場で感じた体感を忘れないでいただければ幸いです。

 

話題は変わりますが。

最近はよく人が死にます。歳をとってきただけに出会う人の数も多くなり、みんな同時に歳をとるものだから、本当に多くなってきた。

死ぬことの悲劇性に勝るものはありません。まさに悲劇でしかない。

ただそれは生きているものの価値観で、死んだ人は案外ケロッとしているかもしれません。

そんなケロッとしている人達が、生きている人間より高い位置で観劇しているといいですね。

 

では、本題に入ります。

アトリエ劇研は今月8月31日に閉館します。マーラーの交響曲でダンスをするという無謀なこのシリーズを後押ししてくださった、現・アトリエ劇研のディレクターあごうさとしさんが来年度、京都の東九条に新劇場「Theatre E9 Kyoto」を創設しようと奮闘されています。

正直、この劇場はまだオープンするか決まってないです。なぜなら資金が足りないからです。

もしこの劇場が無事にオープンしたならば、是非ともマーラー交響曲第2番「復活」を上演したいと、

沸々と願う日々です。どうぞみなさまクラウドファンディングにご協力をお願い致します。

これがアソシエイトアーティストとしてアトリエ劇研で3作品上演させていただいた、私の切実な願いであります。詳細は、パンフレットに挟んでいるチラシをご覧ください。

 

暫くはマーラーシリーズの新作はお休みしますが、まだ7交響曲残っています。また劇場で観客の皆様にお会いできること切に願いながら、この度はカーテンコールもしないまま退出します。

次に劇場でお会いする際に是非。

たくさんの方への感謝を胸に、ありがとうございました。

 

さようなら。 

 

                 2017年8月2日 アトリエ劇研にて

 

ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI主宰  きたまり